王道なんて逸らしてしまえ



ーー家に帰ると



「ただいまー。お、今夜は生姜焼きですか。お母様、ナイスチョイスですなぁ」


なんとも食欲をそそられる生姜焼きの香りがした。最高。



はやく食べたくて靴を脱ぎ散らかしたままリビングの扉を開ける。


「愛するマイマザー!マイファザー!マイブラザーたち!ただいま帰りましてよ!」









「相変わらず頭パァだなおまえ」







ん?この辛辣な言葉は?マイブラザーたちの声ではない…?





そこにはわたしの家族と一緒に食卓を囲む橋爪了(担任)がいた。





ああ…噂をすれば…きてたのね…




「いらっしゃい、先生…」


「いや家ではいつも通りでいいわ気色悪い」


「いらっしゃい了兄…」


そう、橋爪先生こと了兄は健兄の親友だ。
もともとよくうちに遊びに来ていて、先生としてよりは了兄としてのほうが付き合いが長い。







まぁそんなことはどうでもいいのだ、この際。






問題なのは、了兄が、







わたしの席でわたしの茶碗でわたしの生姜焼きを喰らっていること。