「え、友達もだめ?お前とならハグとか余裕でできるいい友達になれると思ったんだけど。」





あそっか、この人帰国子女だった。ハグくらい朝飯前ですわ。










え、まって恥ずかしい








早とちりしとるやん、わい









「えっと、はい、もう友達でいいんで解放してくれますか」




恥ずかしすぎて無になったわたしはそう言って立ち上がった。


冷静に考えたら抱きしめられてる瞬間もわたし、青ヒゲだもんね。ないよね。シチュエーション的に。うん。




「まじか!じゃあ名前で呼び会おうぜ!麗!」


うん、馴れ馴れしい。
けどまぁ、いっかもう。なんでも(自暴自棄)



「ソウデスネ、レンクン。デハ」


完全に魂の抜けたわたしは青ヒゲ落書きを隠すのを辞めてリュックを背負って歩き出した。



「麗!」


後ろから名前を呼ばれた。
まだ話があるのかこいつ。



仕方なく振り返るとそこには無邪気な笑顔の榊蓮がいた。




「また明日な」



ニッコリ笑う彼をみてわたしは少しだけ、友達になった後悔が薄れた。














でも







やっぱり王道的ラブストーリーなんてないことを再認識したのだった。





「恋愛とか煩悩だわほんと。あと108年はいらん。」