「人は何のために産まれてきたのですか。」私は歴代の学校の先生にそう質問してきた。そうすると大抵の先生は得意げにこう答えた。「人は幸せになるために産まれてきたのです。」と。私はその答えを聞くたび心の中で悪態をついていた。そんなこときれいごとに過ぎないくそくらえだと。そして、私はその答えを聞くと必ずこう返した。「なるほど流石先生ですね。勉強になります。そうすると先生は面白いくらい鼻を膨張させ、自信満々にこう答えた。「これはいわゆる人権というものです。この人権とは産まれた時から皆が持っている権利で、守られるべき権利です。林さんよく覚えておいてくださいね。」私は可笑しくて笑いを堪えるのに必死だった。だから、この質問は面白いのだ。先生たちは私にきれいごとという正義をいつも押し付けてくる。何故そんな堂々ときれいごとが言えるのだろうか。そして、そんなきれいごとを言う自分に酔いしれることができるのだろうか。しかし、私はその心中とは裏腹に私は元気よくこう答えた。「はい。分かりました。ありがたいお話ありがとうございました。」本当はありがとうなんてこれっぽっちも思っていない。いや、あながちそうではないのかもしれない。ある意味感謝している。面白い回答をして私を楽しませてくれたのだから。私は先生にこのような質問をして先生を嘲笑するこの遊びが好きだった。皆はもう分かっているであろうが、自ら言っておこう。そう私はいわゆる腹黒女なのだ。そして、人間嫌いである。しかし、元々こんな性格だったかと問われるとそうではない。はっきり言って昔の私はバカだった。純粋と言ったほうが正しいかもしれない。まさになって私は漫画にいるような世間知らずのお嬢さまといった感じだった。欲しいものはなんでも手に入った。その時の私はまるで満月のように欠けているところなどなかった。