私が恋した愛しい彼。

来てしまった。。



人が多く、ザワザワとしている。


観客席はもう満員だ。


「やばい、ライブに来ちゃった。」


緊張で心臓がドキドキしてうるさい。




ステージには近くないけど、目の前と右横には通路がある。



「(ワンチャン、通るかも…)」



なんて、期待を込めながらソジュンさんの写真をみつめた。




「ねぇ。」




と、隣から声がする。



綺麗な声。



振り返ると全く知らない人。




「1人で来たの?私もなの。」


と、微笑む。

優しそうな人で、いかにもお姉さんって感じだった。



「そうです。クラッシャー大好きで。」



あはは、と綺麗に笑うお姉さん。
きっと何をしても綺麗なんだろう。


「クラッシャー大好きじゃなかったら、来ないでしょ。その持ってる写真、ソジュンくん?」


知ってるんだ。
なぜだか感動した。
そりゃ、ここにいるってことは知ってるのは当たり前だけど、クラッシャーの話ができる人、周りにいなかったからな。



「私はTGのペン(ファン)なんだぁ!ソジュンくんとTGはホントに人気だよね!」


早く会いたいなと頬に手を当てるお姉さん。
そこで、私も早く会いたいと強く願う。



「そうだ、連絡先交換しない?会ったばっかりだけどまた話したいし!」


ゴソゴソとリュックからスマホを取り出すと器用にいじり始める。


「あのオンニ(お姉さん)って呼んでもいいですか?」



お姉さんは目をキラキラと輝かせて、

「ぜひ!」


と言ってくれた。


会ったばかりでも、話しただけでも、この人はいい人なんだろうなって思った。







ガシャン





「(暗っ)」



いきなり明かりが消えて真っ暗になったと思いきや、






「「「キャーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!!!」」」




やばい泣けてくる。




ステージには、7人のシルエットが。






クラッシャーだ!!!










生で見れたことが嬉しくて、つい名前を大声で叫んでしまうほど、






ソジュンさんはかっこよくて、優しそうで、甘い声だった。








登場してすぐに、歌った曲は激しくて迫力のある曲だった。





三曲目のサビが来るときに、7人はバラけてはじめ、観客席の方へと向かってくる。





「(ソジュンさん、きて!!)」



隣のお姉さんも


「TGーーーー!!」




ってずっと叫んでいた。




ソジュンさんの姿を頑張って探していると、3メートルほど後ろにいた。



やばい、こんなに近くにいるなんて。






1歩1歩近づいてくる。




「ソジュンさーーん!!!」



大声で叫ぶと、ソジュンさんは気づいてくて、私に微笑みかけてくれた。



「今、今っ…!!?」



頭がパニックで顔もきっと真っ赤で、







もう私の人生にこの人以外ありえないって思った。







それにも関わらず、ソジュンさんはどんどん近づいてきて、私の横をスッと通っていった。







やばい、ソジュンさんいい匂いする。
甘いような爽やかな香り。





「今、ソジュンくん向いてたね!」




というお姉さん。




そんなお姉さんは、TGではないけれどクラッシャーのリーダーから手を振られていた。






























ライブが終わり、静かになった会場にはもう私とお姉さんしかいなかった。