ある、少女がいた。

少女のいる世界は、皆が皆 嘘をつくことのない世界だった。

だが少女は違った。そのせいで少女は世界の除け者として扱われていたのだ。

…まだ少女が四つの頃。親は賊に襲われ死んだ、少女を守るために。

その後少女は親戚に引き取られ、そこで育てられることになった。

まだ字の書けない幼子であった少女は、当時のことを伝えることも、自身の親の様子を聞くこともできなかった。

声が、出なくなっていたのだ…

義親は何を教えることもなく、少女の声をどうにかしようともしなかった。欲しいとも思わない小さな子供の世話など、衣住食ができていればよいと考えたからだ。

何年も義理の親の所にいるうちに、少女は自身の声を忘れてしまった。


…ある時


…少女は攫われた。賊ではなかった。闇に引き込まれ 少女は自ら、闇の世界へと足を踏み入れた。

闇は、少女を歓迎してくれた。声が無くても他と変わらず接してくれた。

少女は「仕事」を手に入れ、「仕事」をし続けるにつれ強くなりつつあった。

闇の大手が少女に目を付けた。独り静かに強くなっていく少女に気を引かれた男が少女に手を貸したのだった。

男は少女に様々なことを教えた。この世界で生き続けるための戦闘術、野に生きるための料理術なども。

男の元で「仕事」をする少女に、男は「素晴らしい駒だ」と言った。

少女は、もう少女とは言えないほど成長していた。