あの終わらないかくれんぼが始まったきっかけはとても小さな好奇心からだった。

「あーゆ!おはよ!!」
「あ、おはよ、さっちゃん」
この声をかけて来た子は私の1番の友達の大西紗千(おおにしさち)ちゃん。
そして私は松本亜由美(まつもとあゆみ)
高校に入ってまだ友達がいなかった私に声をかけてくれた大切な友達。
「は〜、また長い学校生活が始まるね〜」
「そうだね」
昨日で夏休みが終わり今日から新学期。

「ねえねえ、そういえば、お姉から聞いた話なんだけどね、学校の近くにある倉庫があるよね?そこに深夜0時に行くと1人の女の子がいるらしいの。」
「さっちゃんのお姉さん、今大学生なんだっけ??」
確かずっと前に聞いた気がする。
凄く優しくて、明るくて、でも駄目なことをした時はちゃんと怒ってくれる大好きなお姉さんだって。
「そうそう!それでね、その女の子と目があったらね、かくれんぼに誘われるんだって!!」
さっちゃんは怖い話が大好き。
色々なネタを見つけては私に話してくれる。
私は正直怖いのとかは苦手なんだけど。
「だから、その、ちょっと見に行ってみたいな〜なんて思ってて…付いてきてくれる?」
そう、さっちゃんは心霊スポットとかそういう場所が大好き。
私も怖いのは得意じゃないけど少しは興味ある。
「いいけど、2人じゃなんか心細くない?」
正直、女の子2人で深夜0時に出歩くのは怖い。幽霊が怖いっていうより人間の方が。
「じゃあ、またあの2人誘う?」
さっちゃんはその言葉を言うとすぐに2人のもとに向かった。
あの2人って言うのは滝島千尋(たきしまちひろ)くんと七瀬弘(ななせひろむ)くん
2人はさっちゃんの幼馴染。
あんまり学校で弘くんと話してるのは見ないけど千尋くんとはよく話している。
私はさっちゃんに言っていないことがある。
本当は…
「あゆ!2人とも付いてきてくれるって〜」
「あ、あぁ、そ、うなんだ!よかったね」
急に話しかけられて、うまく返事できなかった。
「ま、俺がいるから安心しろよ!亜由美!紗千!」
「いや、お前がいてもちっとも安心できないよ。千尋。」
「んだと?!弘こそひょろひょろしやがって!ちっとも安心できねーよ!!!」
この2人の言い合う姿を見ていると自然と笑顔になれる。
「なに〜っ?!また怖い所行くの?!桜も行ってもいい?!あと、心愛ちんと健もっ!!」
急に話に入ってきたこの子は姫路桜(ひめじさくら)ちゃん。
いつもニコニコしていて桜ちゃんがいると皆笑顔になる。
「私は別にいいけど、3人に聞いてみて」
「別に私もいいよ!人数多い方が楽しいし!」
「俺もいいぜ!!皆俺が守ってやるよ!安心しろ!!」
「だから千尋じゃ安心なんかできないよ、俺もいいよ」
はは…また2人の言い合いが始まる予感。
「やったっ‼ありがと‼紗千ちん!あゆちん!千尋くん!弘くん!」
本当桜ちゃんがいると和むなぁ…。
「じゃあ今日の深夜11時半頃学校の校門前で集合な!!」

そしてかくれんぼの地獄が始まろうとしていた。