瞳の奥


「「夕陽くんっ。がんばれー。」」

女子達男子達の声援が集まる。

夕陽はどっちからでもモテまくりだ。

それにしても敵からの熱い応援の声が聞こえて来る。

夕陽はスタートラインに立って、準備運動。

じっと見ていると、目が合った。

すると、夕陽はにこっと微笑み返した。

勝つよ。

ふと夕陽からそう言われた気がした。


「位置についてよーいスタート!!」

2位は夕陽、1位とは少しの差。

ゴールが近づく。

「「夕陽いけー。」」

声が届くように叫んだ。
誰かと声が重なった気がしたけど、今はどうでもいい。

ゴール寸前で夕陽は1位になった。

「やったー。」
「よし。」

うん??

横を見ると、昼翔。さっき重なった声って...。

まあー、声かけてあげよう。

「よお、昼翔じゃん。」

「おう。」

「なんでここにいるの?」

「弟の応援したらダメなんか?」

意地悪そうに私に言う。

「別に。あんな大きい声出したの、珍しいからさー。」

髪や眼鏡で顔色はわかりにくいが、耳が真っ赤になっていた。


「そんな出てたか?」

「うん。」

あれ、珍しく照れちゃって。

もっとイジメちゃえー。

「可愛いよ、昼翔くん。」

「馬鹿にすんな!?」

「怒った?」

「別に。... ...」

小声で昼翔はなにか言っていた。