BAR Ohana_


「ナオさーん!こんばんはー!」


近所のBAR Ohana
ナオさんはOhanaのマスター。

いつも優しくて、
私たちにとってお兄ちゃんみたいな存在。


「おー!今ちょうど...」


ナオさんが何か言いかけた時
私の視界が真っ暗になったと同時に
懐かしい香りに包まれた。


「えっ?ちょっ...」


「良かったー!仁の家行ったけど留守でさー。
2人一緒にいると思った!久しぶりだなー。俺帰ってきたからまたよろしくな?」


大好きな声が
大好きな香りが
大好きなぬくもりが。


「お前、自由すぎんだろ。丈嗣。」


「仁、久しぶりー!」


その言葉と同時に
クリアになる視界。
離れていく香りとぬくもり。


「お前離れろ。」


視線の先には仁に抱きつく丈嗣の姿。


「丈嗣...」


ずっと待ってた、大好きな人が
目の前にいる。

泣きたくないのに。
涙が止まらない。