君は『もしも』の話が大好きだった。

いつも、「もし〜だったらどうする?」

そんな質問ばかり僕に投げかけた。

いつも、質問の内容はバラバラで、きっとそのとき思いついたことを深く考えず聞いていただけだったのだろう。

でも、たまに君は縋るような声で瞳で僕に問いかけた。

その質問はいつも僕を困らせた。

「ねぇ翠、君はこの世界をどう思う?」

「腐ってる…。そう、思ってるよ」

しばらくの沈黙の後、君は言った。

「ねぇ、もしもここから連れ出してって、言ったら君はどうする?連れ出してくれる?」

「…僕に翼があったらね…。ここからその翼で飛び立つそとができたらね。」

「なにそれ〜?」

君はそう笑った。僕も自分が何を言いたいのかなんて分かっていなかった。

ただ、はぐらかしたんだ。怖かったんだ。

君が真剣に言っていることが分かっていたから。

君の必死の助けを求める声から、僕は逃げた。
弱かったから。