「それがこれ?」


晴也は私の左手首にあるリスカの跡をなぞった。


「うん、そう。

でもこんなんじゃ死ねるわけなかったんだよね。

しかも、おばさんにすぐ見つかっちゃたし。」


私は晴也から目を反らす。


グッとまぶたを閉じて、


「今日もね、またいとこにヤラれそうになったの。」


晴也は左手首を掴んでいたはずなのに、

いつのまにか私の左手を握っていた。


「私、今回はね必死に抵抗したの。

絶対ヤラれるもんかって。

目覚まし時計でいとこの事殴って無我夢中で逃げてきた。

私が助けを求められるのは晴也しかいなかった。」