後ろから男の声が聞こえるけど、私達は無視して歩き進める。


しばらく無言のまま歩き、男の存在がいない事を確認して私は立ち止まった。


自然とおじさんも立ち止まる。


掴んでいた腕を離し、


「助けてくれてありがとうございました。」


私はおじさんに頭を下げる。


「いいんだよ。それより、その荷物…?」


さっきとは違って優しい顔になったおじさんは、

私のパンパンに詰め込まれたカバンに目をやる。


「今までお世話になった親戚の家を出てきたんです。」


そう私が答えると、


「行くあてはあるのかい?」


更におじさんからの質問。