晴也は何かを察したようで、私の両肩を掴んで、


「俺、亜紀と別れるから。だから、だから俺と…」

「待って!ダメ。それ以上言っちゃダメ。」


私は晴也の言葉を遮った。


「陽菜ちゃん…。」


晴也は何か言いたそうにしているけど、

私の気持ちが固まっている事を読み取ってそれ以上何も言わなかった。


「ごめん。先行くから。」


本当は、何もかも忘れて晴也と一緒にいたかったけど、

私には出来ない。


ゆっくりと扉に手をかけ、私は静かに屋上をあとにした。


これで良かったの。