「おや………」

久光は言葉を失う。
薄色の袿は美しく、また、彼女の艶めかしさを際立たせていた。

「御髪が、艶々と黒くていらっしゃいますが、少し短う御座いますな。」

倭が言った。
確かに、女君の髪は腰辺りまでしかなく、短いと思わされる。

「尼削、ですかね。しかし、異国の姫君かしら。お召し物も、女房装束ではありませんし。」

「さあ。」

誰も、彼女の生い立ち、身元を知らない。

「なまじ美しゅう女君ですこと。此方も、お幸せな。」