女君に久光は夢中になってしまって、ふと考えた。

(こんな美しいのだもの。見つかったら、どんな奴でも…………)

それは嫌だと、久光は女君を抱えて邸に上がった。


(ん?)

倭は誰かの気配を感じて、もそりと起きあがった。

「まぁ、若君!」

倭は久光が女君を抱きかかえて来たので、とても驚いた。

「その姫君は!?」

倭は、その女君を、何処かの姫君と思ったらしい。