春のうらうらとした陽気に、倭はウトウトと、几帳の麓で眠ってしまった。


(落ち着くなぁ、やはり。)

久光は伸びをして、藤の盛んな辺りまで歩いて行った。

(ん?)

うらうらに照れる春日に………

ひらひらと髪を結っている紐や、白絹の衣の帯がたなびいて、肩に掛けてある緑の衣も美しい。長い黒髪も、肩に掛かっていて。

(美しい。)

大陸風の装束を纏った、この上なく美しい女君であった。

(何処から?)