「そんな感じは確かに、したわねェ。これが日本の姫君、と思うと何だかおかしかったわ。」

二人は北の方を愚痴っていたが、とても楽しそうだった。

「北の方が仕立てた衣裳をお召になっていた若君は、よく、笑われると嘆いておられました。だからこそ、この邸で仕立てた物は、良い物だと仰っていましたよ。」

「つくづく、可哀想な方ね。」

藤の君は久光を哀れみるように、言った。