不貞腐れながら、北の方は愚痴った。それも、本人の目の前で。

「お前さん、きっと、其方は永遠に、幸せには、なれないよ。きっと。」

「あたしが?」

「侵せるもの、侵せないものが、存在する。吾は、其方が侵せる者では、ない。」

クスクスと、君は笑って、風に舞う黒髪を右手で撫でた。

「これ以上、其方は私を、深入り出来ない。出来るはずも、ない。もし、其方がそうしてしまうならば、死して、堕ちるだろうぞ。」

「堕ち………る?」

最後に、と君は口を開いた。