倭は調度を持ち運ばせて、邸内を美しく保たせた。
(昔、あたくしの邸で見たわ。その時も、こう、藤が栄えていた。でも、不吉ね。藤は他の物に巻きついて生きているのだわ。財産、権力まで吸い尽くされてしまうが如く。)
倭は昔、幼い頃に零落し、財産を食い尽くされ、やっと少し残った物も、元仕えていた者に奪われてしまった。
倭は高貴な身分を捨て、女房に成り下がることで、衣食住を保証された。
(こんな綺麗な袿を着ていられるのも、成り下がったお陰。いいのか悪いのか………)
そう思うと、まあ、複雑なもので、倭はふう、と溜め息をついた。
(感謝、しなくてはね。)
(昔、あたくしの邸で見たわ。その時も、こう、藤が栄えていた。でも、不吉ね。藤は他の物に巻きついて生きているのだわ。財産、権力まで吸い尽くされてしまうが如く。)
倭は昔、幼い頃に零落し、財産を食い尽くされ、やっと少し残った物も、元仕えていた者に奪われてしまった。
倭は高貴な身分を捨て、女房に成り下がることで、衣食住を保証された。
(こんな綺麗な袿を着ていられるのも、成り下がったお陰。いいのか悪いのか………)
そう思うと、まあ、複雑なもので、倭はふう、と溜め息をついた。
(感謝、しなくてはね。)


