(これ、久光の、北の方だわ!)
それが分かれば、彼女は少し安心しつつも気を張った。
(これが?これが、北の方なの?まぁ、まさか!?………いえ、そうだわ。)
藤の君が見下ろしたのは、染めの乱雑な袿を二枚、単に羽織った娘。
一方で、北の方が見上げたのは、唐風の装束をゆったりと着た天女。
北の方は、藤の君の、紅い目に、暫し、正気を奪われていた。
「其方(そなた)は、誰ぞ?答えたもう。答えたもう、お前様。」
(堅苦しい、人ね。)
それが分かれば、彼女は少し安心しつつも気を張った。
(これが?これが、北の方なの?まぁ、まさか!?………いえ、そうだわ。)
藤の君が見下ろしたのは、染めの乱雑な袿を二枚、単に羽織った娘。
一方で、北の方が見上げたのは、唐風の装束をゆったりと着た天女。
北の方は、藤の君の、紅い目に、暫し、正気を奪われていた。
「其方(そなた)は、誰ぞ?答えたもう。答えたもう、お前様。」
(堅苦しい、人ね。)


