その頃、藤の君も同じ夢を見ていた。

(誰ぞ、居るか?)

彼女も、霧が晴れることを願ったので、サッと晴れてくれた。

(誰?)

そこには、互いに、見た事が皆無、同じ歳頃の娘が立っていた。

(下賎ね………我儘そうな顔だわ。変な格好。)

(誰?こんな格好の人、見たことない。これ、人なの?)

これが、互いの持つ第一印象であった。

しかし、ハッとした。
北の方を見て、気がついたのだ。