くすりと、倭は笑った。

(あの人、不思議なのよ。きっと………ね………でなければ、あたくし、如何かしたの………?)


「倭様。」

倭はあまり身の回りの仕事をやりたがらないので、一人、女房を本邸から呼んだ。

「紗都。このお邸の事は、外に話してはなりませんよ。話してしまえば、その時は、都落ちも覚悟なさい。」

「は………はい。」

紗都は本邸の女房の内でも、身分の低い女房である。一方の倭は、邸の女房に似つかわしくない身の上だが、仕方なく成り下がった者である。二人の差は、歴然としている。