月に叢雲花に嵐 -夢現-

一番最初の印象も、女房達には強かったかもしれない。

高貴とされる紫をふんだんに使った裳唐衣。そして、それに似つかわしくない、尼削の、短い髪の毛。

その裳唐衣は、昔仕えていた女房から唯一奪われなかった、上等な品だ。どうやら、死んだ乳母が隠していたらしい。

そして、あまりの貧しさに耐えきれなくなった倭は、権門の姫君が尼になろうとして髪を下ろしたので、髢を作りたがっているのをたまたま知り、バッサリと切って売ってしまった。

-零落して、不幸な目にあった、高貴な姫君。

それが、皆の印象だった。