月に叢雲花に嵐 -夢現-

「私はね、久光。普通の娘よりは教養があると思うわよ。筝や琵琶は元より、横笛も出来るわ。」

「男女、どちらの教養も持ち合わせているみたいだね、いや、凄い。」

「でもねぇ………おかしな話かもしれないわ、私、仮名が読めないのよねぇ。いっそ、総て漢文で書いて欲しいのだよ。」

「どれ………?」

久光は仮名が読めない藤の君に、物語を読んであげていた。


(あぁ、見事。見事な花だわ。本当に。あたくしとは、真逆。)

倭は独り、脇息にもたれて、庭に咲いている藤の花を見ていた。