月に叢雲花に嵐 -夢現-

藤の君は久光に、女らしく、姫君らしくするように言いつけられていた。

そのお陰か、きっぱりとした言いようは変わらないけれど、それこそ姫君らしい女々しさを持った。

「久光、何を読んでいるの。」

「ああ、昔読んだ漢詩だよ。見つけたんだ。懐かしくて、読んでいるんだよ。」

「ふぅん。『国破れて山河あり』………春望ね。」

「そうだよ。君、漢詩が読めるのか、珍しいな。」

「そう?漢詩は私からしたら、当たり前の教養だわね。」

「そんなことないよ。世の中の姫君は漢詩が読める人は、そう多くないんだよ、知っていなかったのかい。」