「なーちゃんさ、前からでしょ?オレのことスキでしょ?今は、顔だけかもしれないけど。気づいてたよ。気づいてないと思ってたわけ?さっきの子、このパーティーに、俺を誘った時のさきちゃんの発言とか、さっきのなーちゃんの発言とかね。」


やっぱり。
れきくんって、片付けを手伝ってくれた時とキャラが違う気がする。
やっぱり、やめておこう。


「顔は好きよ。でも、顔だけだから、ごめんね。」


平常心。
ここは、ポーカーフェイスで、一瞬でも休まないようにしないと。
私、何かが崩れそう。


「さっき、さきちゃんがいってた、[ゆっくり]、あれね、意味は分かるよ。俺、そんなに鈍感じゃないよ。」


やばいよ。なにかわからないけど。


「そう。でも、もう、あなたには、興味ないから。もう、遅いし、帰ったら。」

「帰っても、1人だし、ここに泊まったらダメ?」

「駄目です。女の子1人の家に泊まるなんて。」

「用心棒的な感じは?」

「駄目です。帰って。」


あ、え、私、いつの間に壁が…。


「でも、逃げられないよ。なーちゃんの後、壁だし。なーちゃん、顔紅いし。その紅さ、体調が悪い紅さでもないみたいだし。」


え、顔、紅いの?
こんなに、好みの顔が、自分の顔の近くに来たら、紅くなるって。
私、頑張れ。
負けそう。

このまま、負けたら…。
後に壁があって、キスされたら…。

「なーちゃん、負け!今、油断したね。キスしたいって思ったでしょ。図星かな。その顔は。」


バレてるし。
もう無理。この顔弱いもん。


「じゃ、キスしてあげよう。目、閉じて。」













あれ?
全然…。


「へー。本当にキス、待ってたんだ。あ、頬にはしたから、嘘は付いてないよ。」


しまった。つい、目を閉じてしまった。
しかも、やばい。私、何か…。


「なーちゃん、さっきから無言だね。ベッドに行きたかったりする?俺と一緒に。」


何もかも、見破られてる。
うーん。


「でもね、実は、後少ししたら、親が家に帰ってくるんだよね。嘘ついて、ごめんね。じゃ、帰るわ。」










れきくんは、帰っていった。

私のこの感情、この諸々感は、どこにぶつけたらいいの?

あ、連絡先、聞くの忘れた。さきちゃんにきけば、わかるかな。
でも、さきちゃんにきいたら、からかわれるだろうな。











「これ、何だろう?」


れきくんが帰ったあと、部屋の床に、角みたいな飾りが、あった。