「あ、さきちゃんのこと、忘れてた。」

「忘れた、って…。なーちゃん…。」

「ごめん。ごめん。あ、塩ちゃんとれきくんもごめん。」

「まあ、私はいいけど。美味しいもの食べれたから、あとはどーなってもいいし。」

「塩ちゃんは!まったく…。まったくって私の方かー。ごめん。」



私とさきちゃん、塩ちゃんのこんなやりとりに、れきくんは微笑んでるだけ。
何も言わないのかな。


「なーちゃん、 私と塩は、もう帰るから、れきくんとごゆっくり。」

「ごゆっくりなんかしません。ね!れきくん。」

「うん。ゆっくりしないよ。どうしてゆっくりする?」

「さぁ。」

「れきくんの鈍感!」

「うん?」

「なんでもないから。れきくん。じゃあね、さきちゃん、塩ちゃん。来てくれてありがとう。」

「うん。ありがとう。」

「美味しいもの、ありがとう。」

「二人とも、夜遊びは、程々にね。」

「もう、帰るもん。私。」

「私も帰る。」

「珍しいね。」

「珍しいこともあるんです。」



「俺も帰るから。」

「本当に帰るのね。」


さきちゃんと塩ちゃんは、私とれきくんの反応に笑いながら、れきくんは、最後に、ありがとうと、言って帰っていった。

れきくんが、[ゆっくり]の意味、よく分かってなくてよかった。

こんな所で、ゆっくりするって言われても困るし、興味ないからとか言われても、嫌だしね。

さてと、後片付けしないとね。