お昼休み。ひと通り校内を案内したあと、私は学食に向かうために芳野くんを教室に送り届けた。


「それじゃあ」

「待って!瑠璃川さん、お昼ご飯誰かと食べるの?」

「……1人だけど」


聞くだけ野暮ってものである。
朝のやりとりを見てたくせに、私が一緒にご飯を食べる友達がいると思ったのかこの人は。


「そうなんだ。じゃあさ…………一緒に食べてもいい、かな?」

「えっ」

「だ、ダメ?」


さすがに、さすがにおかしい。

なんでこの人はこんなに私と距離を詰めてこようとするの?隣の席だから?
それとも朝のやりとりで私のことをかわいそうなやつとでも思ったの?


「………な」

「な?」

「な、なんで?私じゃなくてもキミ……芳野くんほかの子いるよね?」

「ほかの子?」

「朝話しかけにきてた子達とか。別に私である必要ないよね?」


もし朝のやりとりを見て私に同情してるんだったら、そんなことはやめてほしいと思った。
同情されたらもっと悲しくなってしまうし、なんだかみじめな気持ちになる。


「……えっと、急にこんなこと言われたら引くかもしれないけど」


顔を赤くしてこちらを向く彼。


「一目惚れしたんだ、キミに」