ーー【森同家】と彫られている墓があたしたちの目の前に建っていた。
あたしは葬式には行ったけど、そのあとは怖くて部屋に引きこもっていたからここに来るのは初めてだった。
「………明希………来たよ………。」
明希は今……何をしてる……?
明希が眠っている墓は綺麗だった。
近くに明希のおばあちゃんが住んでいるから、頻繁に来て綺麗にしているのだろうと大輔は言っていた。
あたしは墓の前にしゃがみ、手を合わせる。
明希…………。
………何を話せばいいかな……わからないや。
でも、ね。
これだけは言わせて……。
あたし、明希のこと大好きだよ。
たとえそれが、明希とは違う【好き】だったとしても。
あたしにとってかけがえのない、大切な存在が明希でした。
だから明希がいないなんて……なかなか受け入れられなくて………。
今のあたしの姿を明希が見たらどう思うかな?
「バカだ」って言って笑われるかな?
でももう………明希の死を受け入れようと思ったから………。
………ねぇ、明希。
ひとつだけ、わがままを言っていいのなら。
もう一度、明希に会いたい……。



