「明希……?」
「お前は………前だけ向いて生きろ。
俺の分も、な?」
背中を向けられているから、明希の表情がわからない。
これは夢、なんだよね……?
あたしの思い込みから作られた夢なんだよね……?
「明希、待って……」
「優香と会うのはこれで最後だ。
だから………」
明希はようやくあたしの方に体を向けた。
「もう迷うな。
誰がなんと言おうと自分の想いを貫け。
俺は………俺が惚れた女はこんなことで折れる人間じゃない。」
そう言うと明希はまた背を向け、反対側に歩き出した。
遠ざかっていく明希の背中。
明希の言葉はあたしの心に強く響き、どこか暗いところから目覚めた感覚に陥る。
明希………あたしはいつも、あなたに救われてて………
「明希………!あたし、忘れないから……!
明希との思い出、一生忘れないから……!!」
明希に、今の言葉が届いてますように。
これくらいしか……あたしにはできないけど……
「…………。」
だんだんと目の前が真っ暗になる。
そしてあたしは目が覚めた………。



