「あいはら、ゆうり……」 便箋3枚に渡る長かった文章を読み終えた俺は、ひと言ポツリと呟いた。 それはずっと忘れていた、大事な恋人の名前。 使っていたケータイや部屋に残っていた写真は全て両親が片付けてしまっていた。 だから今日まで、その名前を思い出すことはなかった。 「優里……」 口に出せば、懐かしいあの日々が頭に流れ込んでくる。