頬を染めながら慌てる凪を見てから視線を前に戻すと、俯いた佐城さんの顔も同じように上気しているのが見てとれる。


「佐城さん。その顔、凪に見せてあげたらきっと喜ぶよ」


「祐樹くん、うるさい」


彼女は赤くなった顔でジロリとこっちを睨むと、1度息を吸ってから視線をあげた。


「……凪、それより何か用があってきたんじゃないの?」


「見せてあげないんだね」


「うるさいってば」


佐城さんをからかって笑っていれば、凪が頬をかきながら言いづらそうに口を開く。


「あー、うん……実は、ちょっとお願い?……があって」


「なんで疑問形なの。いいよ、なに?」


「今度……修学旅行あるだろ?2日目はクラスとか関係なく自由行動ができるから、もしよかったら柑菜と2人で回りたいなー……と、思って」


「…………」


「……柑菜?」


「……わかった。いいよ」


「っまじで!?やったぁー!約束だかんな!
じゃあ俺、ホームルーム始まるから戻るな!」