「……………」
「……何か、言ってくれない?」
一番下まで視線を移した佐城さんに静かに告げると、彼女はゆっくりと顔を上げた。
「祐樹くんって、授業中寝てるんだ?」
「一番最初に聞くのがそこなの?
まあ確かに寝てるかもね。授業ってノート取るだけで暇だから」
「授業が暇って……できる人の考えることはわからないな。でも、授業中の祐樹くんを知ってるってことは、やっぱりこの子は記憶の彼女なんじゃない?」
「その記憶の彼女っていうの、気に入ったの?
まあ、その可能性は充分にあるね」
「でも、手紙の差出人と記憶の彼女が同一人物かどうかは祐樹くんが思い出すしかないだろうから、これから頑張らないとだね」
「やっぱり気に入ったんだね。
最後にまた明日、って書いてあるから、手紙もしばらくは届くと思うよ」
「じゃあ、この手紙の内容を頼りに記憶を取り戻せばいいんじゃないかな」
「そうだね。俺も気になるし、思い出せるように頑張るよ」



