「えーと……あ、あれ。今打った人」
「おー……すごいね、かなり飛距離あるよ」
「背は少し小さいけど、あれでもエースだからね」
ふふんと少し自慢げに話す彼女に、俺は思わず笑みをこぼした。
「自分のことみたいに言うんだね」
「まぁ、私もソフト部ではエースだったしね。
それにあいつ、私が怪我で部活をやめる時に言ってたの。
お前の分まで俺が頑張って、お前を甲子園に連れてってやるって」
「すごいね。まるで青春映画のワンシーンだ」
名前も知らない幼なじみくんに感心すると、
佐城さんは呆れたような笑顔で答える。
「ほんと、そうだよね。
しかもソフトは甲子園じゃないっつの。
本当にバカみたいにまっすぐで笑っちゃう」