いろいろな感情に歪む顔を俯かせていると、
お母さんがゆっくりと俺の側にきて背中をさすった。
「…怒ってくれて、ありがとう。
けれど、優里が死んでしまったのは祐樹くんのせいじゃないわ」
「でも……っ!」
俺は下を向いていた顔を勢いよくあげる。
「優里ね……病院に運ばれた時に、まだ少し意識があったの」
「え……」
「治療室に入る前に、駆けつけた私たちにひと言だけ言ったわ。
……祐樹を、助けてって」
「………っ、」
目頭が、あつい。
せき止めていたものが一気に出てきそうで、
必死に顔を歪ませる。
お母さんはそんな俺の様子を受け取ると、優しい笑みを見せた。



