君を忘れるその日まで。



今思えば、1通目の手紙が9月に送られてきたのは、夏に優里と話したあの会話があったからだとわかる。


秋が好きだと言った俺に『秋って9月くらいから?』と聞いてきたあの時に決めたのだろう。


でも、別れの日は突然にやってきた。


想像もしていなかったことが、いとも簡単に俺から優里を奪っていった。


あのクリスマスの日、そんな他愛のない話で盛り上がりながら角を曲がった時だった。


気づいた時には、全てが遅かった。


向かいから急に現れた黒ジャンパーの男が、勢いよく優里にぶつかった。


俺は『失礼なやつだな』なんて思いながら、優里の方を振り返った。


何故か優里は、その場に崩れ落ちていく。


その瞬間が、まるでスローモーションのように感じられた。


ついさっきまで『ホワイトクリスマスだね』なんて笑って言っていた優里が、降り積もった真っ白な雪を赤く色付けていく。


俺はただパニックになって、とにかく優里を助けないとと思って、駆け寄ろうとした。


でもその瞬間に、俺の腹部に違和感が走って。


激痛が走る場所を触った手が、真っ赤に染まって。


そこで、俺の意識は途絶えた。