『ねぇ、祐樹。【100日ラブレター】って知ってる?』
『100日ラブレター?何それ?』
街中の大きなクリスマスツリーを背に帰り道を歩いていると、優里から放たれた唐突な質問に、俺は首を傾げた。
『郵便局がやってるイベントで、来年から始まるらしいの。大切な人に100通の手紙を書いて郵便局に預けておいて、指定した日から毎日1通ずつその人の所に届くシステムなんだって!』
『へぇ』
『反応が薄い!せっかく人が一緒にやろうって誘おうとしてるのに』
『え、嫌だよ。手紙なんて書かなくても毎日一緒にいるでしょ』
『それに俺の柄じゃないし』と付け加えると、優里は不服そうな顔を向けてくる。
『そんな顔したってやらないよ』
『……いいもん。私だけで送ってやるもんね!』
『え、本気?』
『本気です。実はもう預けてあるのだよ』
『……いつ送ってくるの?』
『ふふっ、内緒』
『…まぁ、楽しみにしてるよ』
得意げな顔の優里に、俺は苦笑しながら答えていた。



