君を忘れるその日まで。



「祐樹くん、なんだかご機嫌だね」


「え?」


暖房で温まった空気が図書室を包み込んでいるなか、顔を上げると佐城さんが柔らかな笑みを向けていた。


「そうかな?受験勉強は全然楽しくないんだけど」


テーブルの上に並べられた参考書とノートの数々に視線をやりながら返すと、佐城さんはクスッと笑う。


「勉強のことじゃなくて。最近の祐樹くん、笑顔が優しくなったような気がするから」


「…?自分では全然わからないけど、もしかしたらそうなのかもしれないね」


言いながら口角を上げれば、興味のありそうな顔を向けられた。