愛原優里は、俺が前に通っていた学校の同級生だった。
そして、俺の彼女だった。
「片想いじゃ、なかったんだ……」
自分の性格的に、好きな人ができても想いを伝えることはしないと思っていた。
けれど俺は、彼女と恋人同士になっていた。
「……優里。どうして今まで忘れてたんだろう」
こんなにも鮮明に、俺の記憶の中に残っているのに。
名前を呼ぶだけで、こんなにも胸が暖かくなるのに。
「……会いたいな」
全ての記憶を取り戻した今、優里に会いたくて仕方がない衝動にかられる。
口に出せば、寂しい気持ちが募ってくる。
「……そうだ」
あと少しで冬休みだし、どこかの宿泊施設に1人分の予約を取っておいて、優里に会いに行こう。
今まで会えなかった時間の分も、色々なことを話し合おう。
また、あの笑顔を見に行こう。



