オースは、一応雲の上にいた神のなり損ないなので、人が死ぬ所は何百、何億と見てきた。
「もう…正直うんざりだ…」
が、さすがに毎年人が死ぬのを間近でみていると、気が沈む。
見慣れた森の中、空を見上げた。
生い茂る樹木しかない、変わらない世界。
葉が枯れ、天から白い粉が降り、やがて白い粉は止んで木に緑茶色の葉がつき始め、だんだん赤色に染まっていく
そして地面が葉っぱで覆われていく
ただただ、時が流れていっていた。
「飽きてきた…」
はぁ、と小さなため息を漏らし、再び寝転がる。
…遠くに、あの小屋が建ててある道が見えた。
「……道に出てみるか…」
そこからみる景色も、案外悪くないのだ
思い体を再び起こして、道に向かってふらふらと歩いた。
道は葉が散乱し、コンクリートの道は、所々ひび割れていた。
「……相変わらず廃れてんな…」
でもその廃れ具合が、オースは好きだった
隣にあった小屋が、意味深に影を伸ばしていた。
ふう、と息をつき、顔を上げると、
まるで何かが優しく微笑んでくれているような、暖かい何かに包み込まれるような
そんな強く優しい夕日があった。
「……」
時間を忘れてずっと眺めていた。
遠くから、一台の車が来るのに、嫌われ者の怪物は、なかなか気づけなかった。
