でも、
「どうして…?」
「……え」
驚いた。少女はいたって冷静だった。
「どうして…神様はマユのお母さんやお父さんを……」
「……なんでだろうね」
正直、神様にとって人間の言動には全く理解し難いものだった。
他の神に地上へ落とされ、追いかけ回されたと思ったら人間を祀られ。
「でも確かなのは…俺は神様なんて者じゃない」
「神様…じゃない…?」
浮かんだ疑問は自然に声に出ていた
「じゃあ…なんで神様って言われてるの…?」
「……勘違い。きっと。俺が歪で怖いから、人間は、勝手に嫌う理由を押し付けた。多分ね」
疑問が次々と出てくる。マユは真実を知りたかった。知らなきゃいけない気がした。
「じゃああなたは…何者なの?」
「神になり損ねた怪物……まぁ…怪物、かな」
「……なり損ねた…?」
オースは一瞬暗い顔を浮かべた。
「神は、翼が命なんだ。でも俺は…」
バサッと翼が広がり、マユはハッとする
左の翼が、まるで切り落とされたかのように、右の翼より短かった。
「……そう」
マユはふわっとオースの顔に自分の顔を近づけた
そして
「……!!」
優しく抱きしめた。
「辛かったでしょう。大変だったでしょう。」
そう言ってマユは涙を流した。
オースは少女を馬鹿だと思った。
人間は普通、怪物を嫌うものではないのか。なぜこのようなことをするのか。
「感情が…抑えられなくなってしまうじゃないか……」
オースの目には、涙が浮かんでいた。
「……なぁ、お前は、俺が怖くないのか?」
「怖くなんて…ない。だって」
「こんなに綺麗なんだもの」
オースは、
こんな幸せ、あってたまるか。と微笑んだ。
