目を覚ますと、自分の部屋だった。




母が運んでくれたのだろうか。そんな優しい人だっただろうか。



朝、母から聞かされたあの話が夢だと信じたかった。



体が重い。マユはしばらく起き上がれなかった。金縛りにあったみたいに。




母は、マユの家系は代々神様に捧げられてきた。と言っていた。



神様とは、マユがずっと探していたあの神様に違いない。





「……神様…あなたは……いい神様…?」




それとも……





「悪い神様」




突然聞こえた低くよく響く声にはっとして、思わず勢いよく体を起こした。




「あ……か、かみ…さま……」




相変わらず神様はとても綺麗だった。




相変わらずマユは、とても愛らしかった。そして、やはりどこか既視感があった。




「わ、悪い神様って…」




「君からしたら悪い神様…なのかもね」




足がすくんで逃げられないのだろう。オースはそう感じていた。