「陸…」

「今までとは違う。なんでアイツなんだよ…男なら他にもいくらでもいるだろうがよ!」



なんで…どうしてそんなに感情的になってるの?

陸は今、何を考えてるの…?


「なんで…どうして有馬先輩はダメなの!?」


意地悪なところもあるけど、本当は優しくて、かっこよくて、ヒーローみたいで…


気づいたら私は、言葉じゃ説明出来ないくらい有馬先輩のことが好きになっていたんだ。



メグや陸にもわかって欲しい。



そう思うのは私のワガママなの…?


「とにかく、アイツはダメだ。分かってくれよ…全部お前のためなんだよ」

「…っ、意味わかんない!!陸のバカ!!見損なったよ!!先輩の何を知ってるっていうの!?」


何も知らないくせに、先輩のことを悪くいう陸が憎くて、思わず涙が溢れた。


「…もう勝手にしろ」


バン!!

乱暴にドアを閉め、陸は帰った。


それを確認し、私はなにかが切れたように大泣きした。


陸は、先輩の何を知ってるの?

どうしてみんな、その “ 何か ” を私にだけ教えてくれないの…?

「もう、どうしていいのか分からないよ…」