* * *

「 “ 似てるな ” って言われたの。その時の顔…なんだかすごく悲しそうだった」



まるで泣いてしまいそうな、いつもの有馬先輩からは想像もできないあの表情。


それが頭から離れなかった私は、家に帰ってすぐメグの家に押しかけたんだ。



「茜、はっきり言うね。それ…女だと思う」



2人の関係はメグにも隠しているけど、メグの予想は私と同じものだった。



「女…」


つまり、元カノってこと…?


「先輩は諦めた方がいい。このままじゃきっと…茜が傷つくことになる」



少し強めのメグの言葉に、私は何も言い返せなかった。



だって…先輩は私のことを好きじゃないから。

彼女だけど、本当の意味での彼女じゃないから。



「まぁ、よく考えな。傷つくことが怖くない、傷ついてもいいって茜が言うなら、あたしは止めない。全力で先輩を追えばいい」



先輩を好きでいるのをやめるか、これからも好きでいるか…


正直、自分がどうしたらいいのかなんてさっぱり分からなかった。


けど…あの秘密の時間が終わってしまうのだけは、絶対に嫌だった。