ーブーッ、ブーッ…

「あれ、電話……はぁ…ちょっとごめんなさい」



スマホの画面をみてため息をついてから茜は電話に出た。

…誰だ?



「もしもし、陸?」



…また、リク…?



「え?どこにいるかって?と、友達の家!もう、陸は過保護なんだよ!大丈夫だから!!もう高校生だもん。じゃあね!」



茜はブチッと電話を切り、スマホを机の上に置いた。




怒っているようで、ちょっと笑ってる。



リクって、なんなんだ…?

こいつにとって特別な存在なのか…?


「リク…」

「ん?先輩今なんか言いました?」

「…なんでもない」



俺はスマホを持ち、再びベッドに寝転んだ。



《 To 陽》

坂下陸ってやつ知ってる?



そんなメッセージを一言、身近な情報屋に送り付けて。



「もう外暗くなるし、帰れば?」

「あぁ、そう、ですね…」



窓の外に視線を送り、少しだけ名残惜しそうな表情をする新堂。

けど、それを俺は見なかったことにした。