《From 坂下陸》

おい、今どこにいんだよ?





「リク…?」



男…?




「おい茜……バカネ」

「ん…わたしのなまえはあかねれす…」



何度目か分からないけど、声をかけると茜はうっすらと目を開けた。

そして呂律の回っていない中でもきちんと俺にツッコミを入れてきた。



「…起きろ」

「ん~…私、いつの間に寝て…」

「はぁ…それは俺のセリフなんだけど?」

「あぁ、そっか。ごめんなさい…あれ、先輩熱は!?」



やっと意識がはっきりし、バチッと俺と目が合った茜はバッと顔を上げた。



「たぶんもう平気。」

「そっか…よかった」


安心しきったようにふわっと笑う茜から目をそらすと、机の上のスケッチブックが目に入った。



「…これ、お前の?」



まぁここは俺の部屋だし、俺のじゃなければこいつのなんだろうけど…


そういえば、美術部だっけ。


なんて思いながら1ページめくると、そこには…



「は?」

「あぁぁ!!!それダメです!!見ないで!!」


茜の叫ぶ声も伸ばす手も虚しく、俺ははっきりとその絵を見た。


「あ、あの…それは違くて…!決して盗撮とかでは」



必死に何かを弁解するような態度をとる茜に、俺はいいことを思いついた。