【雄飛side】

* * *

目が覚めると、カーテンの隙間からオレンジ色の光が差し込んできた。



「…夕方か」



寝る前よりもだるさがマシになっていて、俺は体を起こした。


…そして、目の前に広がる光景に絶句して5秒間かたまる。



「…は?」



俺の部屋の真ん中にあるテーブル。


そこに突っ伏し眠る、1人の女。



…一応恋人の、新堂茜。



「…はぁ」



一瞬忘れてたけど、そういえばこいつが押しかけてきたんだった。



「……」



夕日に照らされて茶色がかって見えるロングヘア。

荷物とともにおかれている制服のブレザー。



…こいつには危機感というものがないのだろうか。


いや、多分…絶対ない。



「…おい、起きろバカ」


ベッドから出て肩を揺するけど、このバカはなんの反応も示さなかった。


「おい」



ピロリン♪


「…」


音を鳴らし、光ったのは俺のスマホではなく、茜のものだった。