「だよねー!だって雄飛くんには瑠衣がいるもんね!」



先輩は何も言わなかった。

これで…よかったんだよね、きっと…



「…わ、私、友達が待ってるので!お先に失礼します。お祭り楽しんでくださいね」



胸が苦しくて、涙が溢れそうで

私はその場を立ち去った。


最初は平然を装ってゆっくり歩いて、でも先輩たちから見えなくなった頃には早足になって、気づけば走っていた。

靴擦れなんて全く気にならなかった。



「はぁっ、はぁ…」



いつの間にか私は神社の入口まで走ってきていたみたいだ。


人が多いおかげで泣いていても気づかれないのが好都合だった。



こんなんじゃ先輩と釣り合うどころか、彼女にすら見られない。

秘密だけど、彼女は私なのに…


両思いになった今でも、結局は瑠衣さんに敵わないの?


ねぇ、有馬先輩…