* * *

「むり…もう…しぬぅ…」

「安心しろ。お前は生きてる。こんなんじゃ死なねえよ」



午後4時30分。

自習開始から4時間半。



普通だったら12時に始めたから3時までの勉強なのに、なぜか私は陸によって取り残されている。



あぁ、先輩との約束の時間だ…



「もー部屋戻っちゃだめ?いっぱい勉強したじゃーん!」

「あとちょっとでプリント終わるだろ。」

「えー!!日が暮れちゃう!!」

「それが嫌なら頑張れよ」



陸ってば、久しぶりに話してこれってどういうつもりなの!?

貴重な自由時間がっ…!!



「5分休憩…」

「あぁ?なめてんのか?」



そんな陸の声は聞かず、私は机にぐでっと倒れ込んだ。



「…なぁ」

「んー?」

「お前、あの先輩とつきあってんの?」



ビクッ

…って、そっか。陸にはもう話してもいっか…



「…そうだよ。でももう先輩のことで陸たちには迷惑かけないから」

「…へぇ」




「あはは…なーんて、陸には関係ないか。私のこと好きじゃあるまいし」

「好きだけど」




ピクッ

陸の口から初めて聞くその単語に、思わず肩が反応した。



「…え?」

「好きだよ。お前のこと。あの先輩に出会うずっとずっと前から」

「嘘…でしょ?」



いつも意地悪で

私のこと妹みたいに扱って

中学のときもコロコロ変わってたけど彼女もいて

物心ついたときからずーっと一緒にいる

家族みたいな陸が



「私…?」

「だからムカついた。急に現れたあいつに尻尾振って、楽しそうに笑ったり、あいつを想って泣いたりしてるお前見て」



ずっと私の恋愛に興味無さそうにしてた陸が、はじめて口を出してきた。


それは…私のことが好きだったから?


有馬先輩のこと考えて悩んだり泣いたりしてるのをすぐそばで見てたから?