私の彼はオイルの血



「ねぇ、授業終わったら見に行こうよ!」
千明は新番組の月9のドラマが始まった時のように嬉しそうだった。


見に行ってもなぁ。

また笑われるだけだし……


気乗りはしなかったけど、千明が見たいと言うので仕方なく付き合う事になった。


隣りのクラス、3組の入り口には他クラスの生徒がチラホラ来ていた。教室をチラ見しては帰って行く。みんな噂を聞きつけてイケメンを見に来たようだ。1人だけウットリと眺めている女生徒がいたのでその横に行って教室を見る事にした。その子は私達に気が付くとゴホンゴホンと咳をしながら足早に去って行った。千明はそれを見ながらニタニタと笑う「スッゴイ噂が広まってるのね!二ヒヒ…」


千明が教室を覗くとイケメンがクラスメイトに囲まれて楽しそうに話していた。


アイツだ!

あのイケメンうぬぼれヤロー!


千明はアイツを見るや、鼻の穴を大きくして飛び跳ねた!「ちょ!スッゴイイケメンじゃない!コリャ凄いわ!アンタもそう思うでしょ!?」

私は眉をしかめて
「あー…うーん、ま…まぁイケメンかなぁ?でもぉ性格悪そう!」

「ハァ?性格悪いとかどうでも良いわ!あんだけ男前だったら許す!」


イケメンに弱い千明。


うーん、私は性格重視だな。


そりゃあ、初めはドキドキしちゃったけどさ。

アイツの言葉がフラッシュバック。


「この学校にこんな子いたんだ……」


そしてニヤついた顔……


あーーー!腹立って来た!
「もう良いでしょ?帰ろうよ」
私が夢中になっている千明の腕を引っ張る。


「もうちょい良いでしょ!?」
千明の目は完全にハートだ。


チラリとアイツの方を見ると……うわぁ女の子に囲まれてるなぁ。クラスメイトの女子は全員目がハートだ。イケメンはこうも女を虜にするのか……

わからないでもないか。

私だって初めは同じだったんだから……