サワーチェリーパイ 6ピース

横を見ると彼女は髪で顔が隠れるほどうつむき、肩を震わせていた。


「再婚なんかして欲しくなかった……アメリカなんか行きたくない……」


僕なんかにはどうしようもない悩み、力にもなれないし、無責任な励ましを与えても彼女の心は癒やされないだろう。


ひたすら頭の中で考えたって、答えの出ない問題を与えられて、泣いている彼女の横でヒザを握るしかなかった。


「駿府君と仲良くなれたのに……」


僕の事、好きだったの?


ガリ勉で、見た目だってダサくてメガネで、運動が出来ないのに。


突然の言葉に、僕の心を覆っていた分厚いガラスにヒビが入る。


『勉強・失敗は許されない・恋愛なんかしている場合じゃない』


一度入ったヒビを、必死で広げまいとする僕の姿と、余計に広げようとする僕の姿が戦う。